アンドリス・ネルソンス 今後のスケジュール

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Andris Nelsons Fan's Information -unofficial

アンドリス・ネルソンスの今後の出演予定です。(随時更新中)
※非常に長いです。その他の更新記事は一つ下から始まります。PCの方は左の「最近の記事」からご覧ください。
※不確かな情報には(?)をつけています。

ボストン交響楽団
【シーズン】シンフォニーホール
2020年
9月16日 オープニングナイト ラン・ラン(Pf)
 ベートーヴェン:交響曲第1番、ピアノ協奏曲第2番
9月17日
 ベートーヴェン:序曲「献堂式」、交響曲第1番、第2番
9月19・22日
 ベートーヴェン:交響曲第2番、第3番
9月24・25日
 ベートーヴェン:交響曲第4番、第5番
9月26・27日
 ベートーヴェン:交響曲第6番、第7番
10月1・2日
マジェスキ(Sp)、マムフォード(Ms)、チェルノフ(Tn)、ユン(Bs)
タングルウッド祝祭合唱団
 ベートーヴェン:交響曲第8番、第9番
10月8・10日 ロルフス(Tp)、フレミング(Sp)、ギルフリー(Br)
 シュトラウス:『火の欠乏』より愛のシーン、グラナート:トランペット協奏曲
 プッツ:The Brightness of Light
10月9日 カジュアルフライデー
フレミング(Sp)、ギルフリー(Br)
 シュトラウス:『火の欠乏』より愛のシーン
 プッツ:The Brightness of Light
10月15~17日、20日 アブドラザコフ(Bs)
タングルウッド祝祭合唱団、ニューイングランド音楽院合唱団
 グバイドゥーリナ:管弦楽のためのプロローグ(アメリカ初演、共同委嘱作品)
 ショスタコーヴィチ:交響曲第13番「バビ・ヤール」
10月22~24日 ハーデリヒ(Vn)
 ハイドン:交響曲第26番「ラメンタツィオーネ」
 ブリテン:ヴァイオリン協奏曲、ストラヴィンスキー:春の祭典

2021年
1月7~9日、12日 トリフォノフ(Pf)
タングルウッド祝祭合唱団
 Nabors:Pulse、プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番
 ホルスト:惑星
1月14~16日、19日 ブッフビンダー(Pf)
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番、マーラー:交響曲第5番
1月21~23日 シャハム(Vn)
タングルウッド祝祭合唱団
 ハイドン:テ・デウム、モーツァルトヴァイオリン協奏曲第2番
 ペルト:ヴァイオリン、弦楽オーケストラ、打楽器のためのFratres
 ショスタコーヴィチ:交響曲第3番「メーデー」
3月18~20日、23日 ダヴィドセン(Sp)
 シュトラウス:ドン・ファン、死と変容
 同:『影のない女』幻想曲、4つの最後の歌
3月21日 マ(Vc)
 シュトラウス:死と変容、『影のない女』幻想曲、チェロと管弦楽のためのロマンス
 ハイドン:チェロ協奏曲第1番
3月25・26日、4月17日 ルイス(Pf)
 アドルフ:新作(初演、共同委嘱)、モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
 ドヴォルジャーク:交響曲第7番
4月6・8・10日 オポライス(Sp)、ヨヴァノヴィチ(Tn)、スコロホドフ(Tn)、ヴァネーエフ(Bs)ほか
タングルウッド祝祭合唱団
 ショスタコーヴィチ:ムツェンスク郡のマクベス夫人
4月16日 カジュアルフライデー ルイス(Pf)
 アドルフ:新作(初演、共同委嘱)、モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
 ドヴォルジャーク:交響曲第7番
4月22~24日、27日 内田光子(Pf)
 タワー:Chamber Dance
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番、ピアノ協奏曲第3番
4月29・30日、5月1日 ブロンフマン(Pf)
タングルウッド祝祭合唱団
 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ、リャードフ:魔法の湖とキキモラ 
 スクリャービン:プロメテウス


【北米公演】
ニューヨーク、カーネギーホール
2020年
10月26日 ハーデリヒ(Vn)
 ハイドン:交響曲第26番「ラメンタツィオーネ」、ブリテン:ヴァイオリン協奏曲
 ストラヴィンスキー:春の祭典

2021年
4月14日 オポライス(Sp)、ヨヴァノヴィチ(Tn)、スコロホドフ(Tn)、ヴァネーエフ(Bs)ほか
 タングルウッド祝祭合唱団
 ショスタコーヴィチ:ムツェンスク郡のマクベス夫人(演奏会形式)
4月15日 ルイス(Pf)
 アドルフ:新作(ニューヨーク初演)、モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
 ドヴォルジャーク:交響曲第7番


【タングルウッド】クーセヴィツキー・ミュージック・シェッド
2020年
7月10日 L.ユッセン(Pf)、A.ユッセン(Pf)、キャベル(Sp)
 ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲
 Adolphe:Underneath the Sheen、プーランク:グローリア
7月11日 Jakubiak(Sp)、Prudenskaya(Ms)、ヴェントリス(Tn)、ナジ(Br)
 タングルウッド祝祭合唱団、ボストン響児童合唱団
 ワーグナー:『タンホイザー』序曲とバッカナール、第3幕
7月12日 アックス(Pf)
 ショパン:ピアノ協奏曲第2番、チャイコフスキー:交響曲第5番
7月17日 ルイス(Pf)
 ベートーヴェン:序曲「献堂式」、ピアノ協奏曲第2番、第3番
7月18日 ルイス(Pf)
 ベートーヴェン:『アテネの廃墟』序曲、ピアノ協奏曲第1番、4番
7月19日 ルイス(Pf)
 ベートーヴェン:『プロメテウスの創造物』、ピアノ協奏曲第5番
7月20日 ※セイジ・オザワホール、タングルウッド・ミュージック・センター管
 ※ネルソンス&TMCコンダクティング・フェロー指揮
 ブラームス:交響曲第2番ほか
7月24日 アイザック・スターン生誕100周年記念/タングルウッド・ガラ
 ハーデリヒ(Vn)
 ベートーヴェン:ロマンス第1番、デュティユー:L'Arbre des songes
 ベルリオーズ:幻想交響曲
7月28日 タングルウッド・オン・パレード
 ※ネルソンス、ウィルキンス、ウィリアムズ指揮
 ※ボストン響&ボストン・ポップス
 シュトラウス:ドン・ファン、チャイコフスキー:序曲「1812年」ほか
7月31日 カヴァコス(Vn)
 ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ブラームス:交響曲第4番
8月1日 トリフォノフ(Pf)、タングルウッド祝祭合唱団
 ショスタコーヴィチ:交響曲第3番「メーデー」、ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
8月2日 ソレンセン(Sp)、マ(Vc)、タングルウッド祝祭合唱団
 ネイサン:管弦楽のための協奏曲、バーバー:キルケゴールの祈り
 ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲


【ツアーその他】
2021年8~9月(?)
プログラムA カヴァコス(Vn)
 ベルク:ヴァイオリン協奏曲、マーラー:交響曲第5番
プログラムB ティボーデ(Pf)
 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ(1947年版)
 ラヴェル:ピアノ協奏曲、ラ・ヴァルス

2022年
5月12~24日 ゲヴァントハウス管弦楽団との共同ツアー
プログラムA(?)
 シュトラウス:『サロメ』より七つのヴェールの踊り、『ばらの騎士』組曲、英雄の生涯
プログラムB(?)
 シュトラウス:ドン・ファン、ブルレスケ、イタリアより

プログラムA(?)
 シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯、四つの最後の歌
 同:ツァラトゥストラかく語りき
プログラムB(?)
 シュトラウス:『影のない女』幻想曲、アルプス交響曲


ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
【シーズン】ゲヴァントハウス
2020年
〈バッハフェスト〉
6月21日 ※トーマス教会
 ランツハーマー(Sp)、ヴォンドゥング(Alt)、コールヘップ(Tn)、ストラジャナツ(Bs)
 MDR放送合唱団
 バッハ:ミサ曲ロ短調


〈Klassik Airleben〉※Rosental
6月26・27日 ペレチャッコ(Sp)、ブレスリク(Tn)、アルコナ(司会)
 J.シュトラウス:『こうもり』より、レハール:『メリー・ウィドウ』『微笑みの国』より



〈サマーフェスティヴァル〉※メンデルスゾーン・ザール
7月11日 ※管セクションのみ、2回開催
 シュトラウス:13管楽器のためのセレナーデ
 モーツァルト:セレナード第10番「グラン・パルティータ」
7月12日 ※弦セクションのみ、2回開催
 ベートーヴェン/ヴァインガルトナー編:大フーガ(弦楽合奏版)
 バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント


9月12日
 ワーグナー:『タンホイザー』序曲とバッカナール
 グバイドゥーリナ:プロローグ、ベートーヴェン:交響曲第8番
11月5・6日 ムター(Vn)
 ベートーヴェン:ロマンス第1番、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第7番
11月12・13日 トリフォノフ(Pf)
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番、交響曲第6番「田園」
11月14日 ムター(Vn)、ミュラー=ショット(Vc)、トリフォノフ(Pf)
 ベートーヴェン:ロマンス第2番、三重協奏曲、交響曲第3番
11月28日 チャリティコンサート ムター(Vn)
 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、交響曲第3番
12月17・18日
 マジェスキ(Sp)、藤村実穂子(Ms)、フォークト(Tn)、ラザフォード(Bs)
 MDR放送合唱団
 ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
12月29・30・31日
 マジェスキ(Sp)、藤村実穂子(Ms)、フォークト(Tn)、ラザフォード(Bs)
 MDR放送合唱団、ゲヴァントハウス合唱団/児童合唱団
 ベートーヴェン:交響曲第9番


2021年
1月28・29日 キーシン(Pf)
 リスト:ピアノ協奏曲第1番、ブルックナー:交響曲第7番
1月31日 マギー(Sp)
 ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集、ブルックナー:交響曲第7番
2月4・5日 キーシン(Pf)
 リスト:プロメテウス、ピアノ協奏曲第2番
 ブルックナー:交響曲第9番
2月7日 マギー(Pf)
 ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と愛の死
 ブルックナー:交響曲第9番
2月11・12日
 ブルックナー:交響曲第8番(ノヴァーク版)


〈マーラー・フェスティヴァル〉
2021年
5月13・14日 ファン(Sp)、フィンク(Alt)、MDR放送合唱団
 マーラー:交響曲第2番「復活」
5月21・23・24日
 ウォール、ワーグナー、ファン(Sp)、ブラウン、フィンク(Ms)、チェルノフ(Tn)、エレート(Br)、ツェッペンフェルト(Bs)
 MDR放送合唱団
 マーラー:交響曲第8番


〈ボストン週間 in Leipzig〉
6月10・11日 ワン(Pf)
 ストラヴィンスキー:頌歌、ピアノと管楽器のための協奏曲
 シュトラウス:ブルレスケ、ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ

6月12日 ファミリーコンサート アルコナ(司会)
 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ

6月25・27日
 シュトラウス:『サロメ』七つのヴェールの踊り
 グバイドゥーリナ「神の怒り」
 シュトラウス:マクベス、ばらの騎士組曲


【ツアー・他都市】
〈バーデン・バーデン夏の音楽祭〉バーデン・バーデン、祝祭劇場
2020年
7月3日
 ブルックナー:交響曲第8番
7月4日 ランツハーマー(Sp)、フォンドゥング(Alt)、コールヘップ(Tn)、ストラジャナッツ(Bs-Br)、MDR放送合唱団
 バッハ:ミサ曲ロ短調
7月5日 ペレチャッコ(Sp)、ブレスリク(Tn)
 バーデン・バーデン・ガラ
 J.シュトラウス:『こうもり』より、レハール:『メリー・ウィドウ』『微笑みの国』より、ほか



〈ヨーロッパ公演〉
2020年
9月8日 ベルリン、フィルハーモニー
9月10日 ロンドン、ロイヤルアルバートホール(プロムス)
 ワーグナー:『タンホイザー』序曲とバッカナール
 グバイドゥーリナ:プロローグ、ベートーヴェン:交響曲第8番


〈ヨーロッパツアー〉
11月
プログラムA ムター(Vn)
 ベートーヴェン:ロマンス第1番、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第7番
プログラムB トリフォノフ(Pf)
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番、交響曲第6番「田園」
プログラムC ムター(Vn)、ミュラー=ショット(Vc)、トリフォノフ(Pf)
 ベートーヴェン:ロマンス第2番、三重協奏曲、交響曲第3番

11月16日 ハンブルク、エルプフィルハーモニー A
11月17日 ハンブルク、エルプフィルハーモニー B
11月18日 ハンブルク、エルプフィルハーモニー C
11月20日 パリ、フィルハーモニー A
11月21日 パリ、フィルハーモニー B
11月22日 パリ、フィルハーモニー C
11月24日 フランクフルト、アルテオーパー A
11月25日 フランクフルト、アルテオーパー B
11月26日 フランクフルト、アルテオーパー C
11月27日 ウィーン、楽友協会 A


2021年
〈ツアー〉
プログラムA マギー(Sp)
 ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集、ブルックナー:交響曲第7番
プログラムB
 『タンホイザー』序曲とバッカナール、ブルックナー:交響曲第7番
プログラムC
 ブルックナー:交響曲第8番(ノヴァーク版)
プログラムD マギー(Sp)
 ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と愛の死、ブルックナー:交響曲第9番
プログラムD'
 ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と愛の死、ブルックナー:交響曲第9番

2月15日 ロンドン、ロイヤルフェスティヴァルホール A
2月16日 ロンドン、ロイヤルフェスティヴァルホール D
2月18日 ウィーン、楽友協会 B
2月19日 ウィーン、楽友協会 C
2月21日 ウィーン、楽友協会 D'
2月26日 東京、サントリーホール B
2月27日 東京、サントリーホール C
2月28日 東京、サントリーホール D'
3月2日 大邱、市民ホール B
3月4日 ソウル、アーツセンター C
3月5日 ソウル、アーツセンター D'


2022年
1~2月 ツアー(?)

5月12~24日 ボストン交響楽団との共同ツアー
プログラムA(?)
 シュトラウス:『サロメ』より七つのヴェールの踊り、『ばらの騎士』組曲、英雄の生涯
プログラムB(?)
 シュトラウス:ドン・ファン、ブルレスケ、イタリアより

プログラムA(?)
 シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯、四つの最後の歌
 同:ツァラトゥストラかく語りき
プログラムB(?)
 シュトラウス:『影のない女』幻想曲、アルプス交響曲

9月8~15日 ツアー(?)


2023年
5月29日~6月13日 ツアー(?)


客演オーケストラ
【ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団】
2020年
〈ベートーヴェン・ツィクルス〉
I. 交響曲第1番、第2番、第3番
II. 交響曲第4番、第5番
III. 交響曲第6番、第7番
IV. 交響曲第8番、第9番

ウィーン、楽友協会
 I. 5月23・24日 II. 5月27・28日 III. 6月3・4日 IV. 6月6・7日(ウィーン楽友協会合唱団)
 クロウ(Sp)、ロンベルガー(Alt)、フォークト(Tn)、グロイスベック(Bs)



〈ザルツブルク音楽祭〉
8月7・9日 ザルツブルク、祝祭大劇場
 ウルマーナ(Alt)、ザルツブルク音楽祭児童合唱団、バイエルン放送合唱団
 マーラー:交響曲第3番


【ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団】
2020年
12月10~12日 スクリデ(Vn)
 グバイドゥーリナ:オッフェルトリウム、マーラー:交響曲第1番


【バイエルン放送交響楽団】
2021年
6月3~5日 スクリデ(Vn)
 グバイドゥーリナ:オッフェルトリウム、ブルックナー:交響曲第6番


〈DHL〉GHO就任前のインタビュー+追記(2020年5月更新)

ゲヴァントハウス管の輸送パートナーであるDHLのサイトに、時々ネルソンスの記事も掲載されるのだが(例えば→〈DHL〉インタビュー(2016年7月))、最近In his own wordsということで、以前のインタビュー記事が更新された。もともとは2018年のカペルマイスター就任の前に出たものらしく、このブログでも扱っていたかと思ったらまだ書いていなかった。今回アップデートされたということで改めて上がっていたので、この機会に記事にしておく。

In his own words: Andris Nelsons on the meaning of music
( Tony Greenway; DHL、2020年5月更新)

In his own wordsということで、以下一人称はネルソンス自身。

*  *  *

音楽はいつも自分の生活の一部だった。それどころか生まれる前から、両親は音楽家だったので、胎内で音楽を聴いていたはず。リガでの子供時代、家には常に音楽があった。合唱やルネサンス、ジャズやブルース、ポップもあったけれども、ほとんどはクラシックだった。

ターニングポイントとなったのは5歳の時、初めて生のオペラに連れて行ってもらったとき。ワーグナーの『タンホイザー』だった。行く前にストーリーを教えてもらって、LPで聴いていったけれども、それはその夜体験したことの準備には全くならなかった。照明が落ちてオーケストラが演奏を始め、幕が上がって――「私はあまりに心を動かす音楽に泣いてしまったのを覚えています。あのとき以来私はワーグナーと恋に落ちたのです」。
そして指揮者にも魅了された。「彼がそのジェスチャーで、魔術師のように音楽を自ら作っているのだと思いました」。その時はっきりと指揮者になりたいと思ったわけではないけれども、「無意識のうちに種が蒔かれたのだと思います」。

When I began to study conducting I didn't tell people about it. I remember my first time on the podium. I was playing trumpet in my high school orchestra in Riga when the conductor — who was a great conductor at Riga Opera — didn't come to rehearsal for some reason. Now, normally I'm a very shy person. But when it looked as though rehearsals would have to be cancelled I stood up and heard myself saying: 'I've been studying conducting for a while and I know this piece. Let's rehearse.' I couldn't believe I did it. That was the moment I knew I really wanted to study this profession properly, because I discovered that I can best express myself as a musician when I'm conducting. Standing in front of the orchestra that day I suddenly forgot I was shy. I wasn't nervous — and I thought I would be. Saying that, I can only imagine how disastrous that rehearsal was!

「指揮の勉強を始めたとき、他の人にはそのことを黙っていました。初めて指揮台に立った時のことを覚えています。私はリガの高校のオーケストラでトランペットを吹いていました。ある時指揮者――リガオペラの素晴らしい指揮者でした――が何らかの理由でリハーサルに来なかったのです。普段私はとてもシャイな性格なんです。でもあのときリハーサルが中止かとなったとき、私は立ち上がって、思わず言ったのです。自分はここしばらく指揮の勉強をしてきて、この作品を知っているから、リハーサルをしよう」と。自分がそんなことをするなんて信じられませんでした。この仕事を本当に勉強したいんだと自分で分かった瞬間でした。というのも、音楽家として自分を最もよく表現できるのが指揮をしている時だと気づいたのです。あの日オーケストラの前に立った時、自分がシャイだということを突然忘れました。緊張すると思っていたのに、しませんでした。あのリハーサルはさぞひどいものだったと思いますけど」

現在は幸運なことに、音楽監督を務めるBSOのような素晴らしいオーケストラを指揮することができている。指揮というのは神秘的な仕事で、指揮者ごとに違う仕方があり、「こうすべきだ」ということはできない。

Some people think the conductor is the 'boss' or influences what the musicians are doing: but that's never been the attraction for me. Being the conductor doesn't mean I know more or I can influence more. From the first moment to the last bar it's my job to create teamwork and atmosphere. It's not about ego or about 'you'. It's about the music and the greatness of these genius composers who have written wonderful scores. But the scores are only made up of notes. As the conductor, you have to look at what's happening between the notes. What is the meaning of the music? What was the composer trying to say?

「指揮者というのは「ボス」だとか、楽員のすることに影響力を持つものだと考える人もいます。でも、そういうのに惹かれたことは私は一度もありません。指揮者であるということは、私がよりよく知っているとか、より影響力があるということではないのです。最初の瞬間から最後の小節まで、私の仕事はチームワークと雰囲気を創り出すことです。エゴとか「自分」の問題ではないのです。重要なのは音楽であり、素晴らしいスコアを書いてくれた天才的な作曲家たちの偉大さなのです。ただ、スコアというのは音符だけでできているものです。指揮者としては、音符の間に何が起こるのかを見ていかないといけない。この音楽の意味とは何なのか、作曲家は何を言おうとしていたのか、と」

もちろんあらゆる芸術形態は重要なものだが、自分にとって音楽というのは、知性を超えたものであるゆえにより高次のものである。説明できない、感じるしかないものがある。非常に特別な魂のための食物のようなもの。混迷する今日の世界の中で、かつてないほどそれは重要なものとなっている。

GHOのカペルマイスターとなるのはとても幸運なこと。初めて客演した2011年から、オケのクオリティ、サウンド、優れた規律に感銘を受けた。もちろんGHOは世界で最も優れたオケの一つであり、バッハやメンデルスゾーンにまで遡る伝統を持つオケということで、緊張もしていた。しかしその後、楽員たちのスピリットと、彼らの作り出す独特の雰囲気を体験した。どんな場所で演奏するにしてもそれは自分にとって夢のようなこと。あらゆることが楽しみだけど、とりわけ楽員たちと、そしてもちろん聴衆とも、音楽的にも人間的にも結びついていくこと。

以下が2020年5月の追加部分。

The sense of community spirit between our musicians and the people of Leipzig is something we truly treasure. In late April our musicians performed one-of-a-kind open-air mini-concerts outside of senior citizens’ living centers, and other residences and institutions in the city, to bring joy to the people. At the same time our musicians offered incomparable musical solace to people who have been cut off from their families for weeks, and without access to any live entertainment. Our many years of close cooperation between DHL and the Gewandhausorchester made this joint effort not only possible, but an exciting and fulfilling experience for us all, as well.

「当団の楽員たちとライプツィヒ市民の間にあるコミュニティの精神を、我々は非常に大切にしています。4月末、楽員たちは老人ホームの外で一種の野外ミニコンサートを開催し、市の住人や他の施設も含め、人々に喜びを届けました。また楽員たちは、何週間も家族と引き離され、ライブのエンターテインメントなしに過ごしている人々のために、比類のない慰めを提供しました。DHLとGHOの長年の緊密な協力関係がこの連帯の取り組みを可能にしてくれたばかりでなく、我々全員にとってエキサイティングで達成感を与える体験としてくれました」

*  *  *

ここでネルソンスの語っていることは、取り立てて目新しい話というわけでもないのだが(同様の内容はこのブログにも何度か出てきていると思う)、彼らしい人柄が伝わってくるもので、in his own wordsというのもいい(もちろん他人の手は入っているだろうが)。元のインタビューはGHO就任前ということで、まだGHOとの本格的な演奏活動については触れていないものの、実際に就任してから現在に至るまでの良好な関係に鑑みれば、それを既に予感させるものとなっていることは間違いない。

最後の、今回数年ぶりに追記されたところというのは、ロックダウン中にGHO団員による特別演奏活動が行われ、その際のDHLの助力に対する感謝。DHLがここの楽器運搬のパートナーなので、ライプツィヒ市内(老人ホーム、病院など)での演奏活動にあたってそのあたりの協力をしたらしい。映像をよく見るとちゃんとDHLの車が映されている。この取り組みにネルソンスは直接参加はしていないものの、オケ代表として彼名義でここに謝辞(兼宣伝)を載せたということだろう。



【速報】〈GHO〉サマーフェスティヴァルでコンサート再開(2020年6・7月)

長くコンサート休止を余儀なくされてきたゲヴァントハウス管が、ついに6月から小規模な演奏会を再開する。Sommerfestivalとしてつい先ほどプログラムが明らかになった。

Sommerfestival des Gewandhausorchesters

期間は6月7日から7月12日までの毎週末。内容としては、本来この3~5月に取り上げられるはずだった様々な企画(ベートーヴェン、ヴァインベルク、HKグルーバー、ボストン週間など)を中心に、ソロや歌曲、アンサンブルや小規模オケなどの形で演奏会を行うというもの。大ホールの方は以前から予定されていた通り、シーズン後の改装工事に入るため、サマーフェスティヴァルの会場はメンデルスゾーン・ザールとなる。観客は80名に制限され、その代わり同一プログラムが1日に2回演奏されるなど、少しでも多くの人が聴けるように企画されている。

プログラムは以下の通り。ネルソンスは最後の2日で、GHOのそれぞれ管セクションと弦セクションのコンサートを指揮。いずれのプログラムも、15時と18時の各2回演奏されることになっている。

*  *  *

6月7日 ゲヴァントハウス管弦楽団、トゥレル (Va)
 ベートーヴェン:弦楽五重奏曲断章(最後の楽想)
 メンデルスゾーン:弦楽四重奏のための4つの小品
 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番

6月13日 Daniel Ciobanu (Pf)
 シルヴェストリ:組曲第3番より第6番バッカナール
 エネスク:組曲第3番「即興的小品集」よりカリヨン ノクターン
 ムソルグスキー:展覧会の絵
 ドビュッシー:前奏曲集第2番より第2曲 ヴェール、第5曲 アナカプリの丘、第12曲 ミンストレル

6月14日 ゲヴァントハウス管楽五重奏団、ステッペス(Pf)
 Bacewicz:管楽五重奏曲
 C.シューマン:ロマンツェ イ短調
 グバイドゥーリナ:森の響き
 スミス:»Bonny Sweet Robin«による変奏曲
 Farrenc:ピアノと管楽五重奏のための六重奏曲

6月20日 サロンオーケストラ・カプチーノ、アルブレヒト・ヴィンター指揮
 »Kauf’ dir einen bunten Luftballon …«(色とりどりの風船を買おう)

6月21日 アルテミス弦楽四重奏団
 アウエルバッハ:弦楽四重奏曲第9番「感謝」(初演、共同委嘱作品)

6月27日 ブロイニンガー(Vn)、ルンゲ(Vc)、L.スクリデ(Pf)
 ヴァインベルク:モラヴィア奇想曲
 同:チェロソナタ第2番
 ブラームス:ピアノ三重奏曲第3番

6月28日 Neues Bachisches Collegium Musicum、ラインハルト・ゲーベル指揮
 J. B. バッハ:ヴァイオリン独奏、弦と通奏低音のための序曲ト短調
 C. P. E. バッハ(?):弦と通奏低音のためのシンフォニアハ長調
 J. C. F. バッハ:弦と通奏低音のためのシンフォニアニ短調
 J. S. バッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番

7月4日 シェーンハイト(ハンマーフリューゲル)、ブシャッツ(Vn)、トゥレル(Va)、ギーガー(Vc)、フッケ(Cb)
ライナー・フッケ(第1ソロコントラバス)退団記念演奏会
 シューベルト:弦楽五重奏曲「ます」

7月5日 ザイデル(Vn)、レーナート(Cl)、シュライアーマッハー(Pf) 
 ミヨー:ヴァイオリン、クラリネット、ピアノのための組曲
 バルトーク:ルーマニア民族舞曲
 ストラヴィンスキー:クラリネットのための3つの小品
 アイヴズ:ヴァイオリンとピアノのためのラルゴ
 ストラヴィンスキー:ピアノのためのタンゴ
 バルトーク:ヴァイオリン、クラリネット、ピアノのためのコントラスツ

7月10日 HKグルーバー(歌と朗読)、シュライアーマッハー(Pf)
 アイスラー、ヴァイル、グルーバー、シュライアーマッハーの作品

7月11日 GHO管セクション、アンドリス・ネルソンス指揮
 シュトラウス:13管楽器のためのセレナーデ
 モーツァルト:セレナード第10番「グラン・パルティータ」

7月12日 GHO弦セクション、アンドリス・ネルソンス指揮
 ベートーヴェン/ヴァインガルトナー編:大フーガ(弦楽合奏版)
 バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント

*  *  *

Leipziger Volkszeitungにネルソンスのコメントが掲載されている。

Endlich wieder Live-Musik: Gewandhaus meldet sich mit Sommerfestival zurück
(Leipziger Volkszeitung、2020年5月28日)

Die Musiker des Gewandhausorchesters und ich freuen uns sehr, wieder Publikum im Gewandhaus Leipzig begrüßen zu dürfen. Dieses Festival gibt uns einen bedeutungsvollen und schönen Rahmen, um wieder in das Konzerterlebnis einzusteigen. Auch wenn wir noch nicht im gewohnten Maße zusammenkommen können, bin ich doch davon überzeugt, dass die intime und reflektive Stimmung der Kammermusik eine wunderbare Rückkehr zu Live-Aufführungen bieten wird.

「GHOメンバーと私は、再び聴衆の皆さんをライプツィヒ・ゲヴァントハウスにお迎えできることを非常に嬉しく思っています。このフェスティヴァルは、再びコンサート体験へと乗り込んでいくための重要かつ素晴らしい枠組みを与えてくれるものです。今のところまだ従来のような規模で集まることはできないものの、親密で豊かな反応を得られる室内楽の雰囲気が、ライブ演奏への素晴らしい復帰となってくれることを確信しています」

ネルソンスはもともと7月10~12日にタングルウッドでBSOを指揮するはずだった。そのタングルウッドの中止が正式に決まったのが今月16日。上記演奏会への出演はそれによって可能になったことになる。ドイツから出るのは現実的になかなか難しかろうから、ライプツィヒでの活動再開というのは自然だろう。
まだまだ本格的なコンサートへの復帰という感じではないものの、プログラムとしては面白いし、逆にめったに聴く機会のないような作品でもあり、これはこれでかなり楽しめるものになるのではないだろうか(だいぶ前にBSOでグラン・パルティータを振る予定があったのだが、風邪ということで後半のメインのみネルソンスが指揮し、セレナードは指揮者なしになったことがあった)。

ネルソンスとしては3月のあの運命(!)以来の指揮である。ただでさえ社会的にも落ち着かない状況の中で、どのコンサートをやるのやらないの、どの音楽祭が中止になるのならないのと、さぞ気を揉んだ日々であったことだろう。オケメンバーはその間も多少は(リモート含め)アンサンブルをやったりしていたけれども、指揮者というのはそうもいかない。もともと世界屈指の忙しさを誇る指揮者であったネルソンスが、実に4か月ぶり、ようやく指揮台に立てるということが、どれほど大きな価値を持つことか。とにかくその機会がやってきたことを、何よりもまず彼のために喜びたい。

ウィーンではもう小規模ながらオーケストラの演奏会が再開されることになっており、ザルツブルク音楽祭も規模縮小による開催が決定された。オーストリアの方がドイツよりも多少ソーシャルディスタンスの規定がフレキシブルらしいのだが、ドイツでもこの調子で少しずつでもコンサートが再開されていき、その試行錯誤の中で、安全性と従来通りに近い演奏とを両立させる形態というのが確立されて行ってくれることを願うばかりだ。
この一連のフェスティヴァルのチケットは5月29日発売。一人2枚までで、定価チケットと、それぞれプラス20ユーロの寄付付きチケットの2種類が発売される。入出場時はマスク着用(席では外していいらしい)、ホワイエサービス・クロークは無し、3席に1席の着席とのこと。収容人数が極めて少ないのだし、何らかのストリーミングでも入ってくれれば有難いのだが、どうだろうか。


〈BSO@Home〉BSO就任記念コンサート(2014年9月)の映像公開

※5月15日の記事に追記の上再公開。

コンサート休止中のBSOによる、HEROIC PERFORMANCESと題するビデオオンデマンド・コンサートのシリーズ。第4弾として2014年9月、ネルソンスのBSO音楽監督就任記念コンサートの映像が公開される。

ANDRIS NELSONS LEADS OPERATIC EXCERPTS
(BSO AT HOME: HEROIC PERFORMANCES、2020年5月17日 15:00~)

2014年9月27日 ボストン、シンフォニーホール
アンドリス・ネルソンス指揮
クリスティーネ・オポライス(Sp)
ヨナス・カウフマン(Tn)

ワーグナー:『タンホイザー』序曲
同:『ローエングリン』より名乗りの歌
同:『トリスタンとイゾルデ』より前奏曲と愛の死
マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』より「母さん、この酒は強いね」
プッチーニ:『蝶々夫人』より「ある晴れた日に」
マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』間奏曲
プッチーニ:『マノン・レスコー』より二重唱「あなたね、いとしい人」
(アンコール)プッチーニ:『ラ・ボエーム』第1幕フィナーレ
レスピーギ:ローマの松



このコンサートはラジオ中継(→〈WGBH〉BSO就任コンサート)のほか、クラシカ・ジャパンでも放映済(→〈クラシカ〉BSO就任記念コンサート)。公開期間は7月1日まで。

このシリーズでは既に2020年1月のオケコンとダフクロの演奏会が公開中(→〈BSO@Home〉バルトーク、ダフクロ、モーツァルト(2020年1月)の映像公開。その後5月3日に小澤のマーラー9番(2002年4月)、10日にラインスドルフのチャイコフスキー5番(1969年4月)が公開済である。

視聴後に追記予定。


(以下視聴後追記)
冒頭に現在のネルソンスが自宅からコメントを入れている。このHeroic Performancesのシリーズは、医療現場など最前線で働く「ヒーロー」に捧げるというコンセプトなので、まずそのメッセージ。そしてコンサートについて、あれからもう6年も経つなんて信じられないですね、と現在41歳のネルソンスが語っている。

以下曲順は一部順不同。
最初のタンホイザーはCDにもなっていて(→〈CD〉BSO シベリウス2番、タンホイザー)、もう何度も聴いてきたものなのだが、聴く度にやはり感動的だなあと思う。見ていると特にそうだが、音だけでもこの曲への愛情、指揮できる喜びが発散されるような演奏なのだ。「音楽(歌)の殿堂」の扉が開いて、アンドリス少年が導き入れられ、胸をいっぱいにして豪勢な天井を見上げている姿が目に浮かぶような気がしてしまう。
そんなイメージはともかく、ネルソンス自身の思い入れもあってか、テンポは後の演奏と比べても遅い。それにしても35歳にして一箇所たりとも「若気の至り」的な飛ばし方に陥ることなく、堂々と鳴らしながら響きの細やかな重なり方にも気配りを怠らず、さすがに立派だ。

カウフマンは2010年、バイロイトのローエングリンで共にデビューを飾った仲。その友情を記念するような「名乗りの歌」である。このドイツ語にバイロイトから文句が付けられたとは、ちょっと信じられない。
ワーグナーもいいが、カウフマンのトゥリッドゥを私は他でも聴いて、かなりのはまり役だと思っている。本来はもっと直情的なキャラでもいいのかもしれないが、彼は演劇的に非常に複雑で面白い表現をしていて、低めの声もよく合っている。

トリスタンは当時の妻オポライスをイゾルデに据えての演奏。オケはねっとり官能的という響きではあまりなく、神秘の夜というには明るめで、もっと率直で迸る情熱のような疾走感も時にのぞく。オポライスのドイツ語はさすがにちょっとわかりにくい。歌い方もイタオペのヒロインっぽさがあり、イゾルデの典型的キャラクターを表現してはいないが、これ単発なら意外と悪くない。見ていると、ネルソンスの方がかなり気を遣ってオケを寄り添わせているのが感じられる。
ちなみにタンホイザーとトリスタンは、2021年のGHOとの来日プログラムに入っているので(→〈速報〉ゲヴァントハウス管 2021年ツアーのプログラム発表)、無事開催できれば日本でも聴けるはずだ(タンホイザーはパリ版、トリスタンは歌なし)。

オポライスはここでもともとカタラーニの『ワリー』のアリアをやる予定だったらしく、動画の前後に入っている字幕にはその名前(というかCataliniになっているのだが…)を入れてしまっている。代わった蝶々夫人は彼女の十八番の一つ。これは私としては苦手なオペラなので何とも言えず。オーケストレーションの魅力は十分に伝わるが。

そして二重唱でマノン・レスコーと、アンコールとしてボエーム第1幕。演技派の二人なので濃厚かつ激しく、しっかりドラマになっていてとてもいい。特に前者は二人の性格表現がぴったりとはまっている。小さな音形をワンポイントにしながら、シンフォニックに起伏を描いていくネルソンスの指揮も巧み。
マノンの方ではしっかりキスまでするので、前後に「夫さんすみませんね」という感じのジェスチャーが差し挟まれるのも納得というか、何というか。ロドルフォについて行く前に、ミミが指揮台の夫を浮気っぽくチラ見して笑いを誘ったり…。今は昔である。

間にマスカーニの間奏曲、弱音を丁寧に紡ぎ、ゆったりと温かなサウンド。まあこういう場だし、オペラの不穏な予感を漂わせるという感じではさすがにない。
最後のレスピーギは、ネルソンスのレパートリーからするとそれほど頻繁にやるものではなく、華やかさ重視という感もある選曲なのだが、その煌びやかさによってしっとりとした静寂や、低くダークなサウンドの魅力が際立ち、ドラマティックな流れが非常に印象深い。各楽器の各フレーズが常にクリアかつ繊細に層を成すように配されていき、最後の盛り上げ方も一切放埒に陥ることなく、ネルソンスらしく細部までよく計算されている。
ラストの金管バンダは左右3階バルコニーだが、該当の席の人はさぞ凄い音がしたことだろう。

最近ではあまり見られなくなった、拳を握ったり腕を振り回したり、反り返ったり目を閉じたりという、35歳のネルソンスの指揮。手すりに手をつくのは最近ほどの頻度ではないが、たまにはやっていたようだ。この指揮台はネルソンスが就任してから使われるようになったオリジナルで、この時がデビューではないだろうか。曲にもよるが、タンホイザーなどあまり譜面をめくらないまま長く振っている場面がわりとあって、今の方がこまめにめくっているような気がする。

NelsonsBSOInaugural.png

大喝采の中でもまずオケのプレイヤーに賞賛を贈り、ソリストが出てくれば立てに立てて自分は引っ込む。この日の主役はどうあってもネルソンスなのに。
ボエームの前に挨拶が入って、これはかなり練習したのか(?)わりとスムーズに喋るのだが、世界一のオケにホールに歌手に曲に、とここでも「他の誰かを称えてばかり」なのが彼らしいなと思う。
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〈NDR〉WPh ベートーヴェン8・9番 ハンブルク公演(2020年3月)

Konzerte aus der Elbphilharmonie - Wiener Philharmoniker
NDR Kultur(北ドイツ放送)、2020年5月22日 20:00~

2020年3月7日 ハンブルク、エルプフィルハーモニー
アンドリス・ネルソンス指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

NDR/WDR放送合唱団
ルーシー・クロウ(Sp)
ゲルヒルト・ロンベルガー(Alt)
ラッセル・トーマス(Tn)
シェンヤン(Bs)

ベートーヴェン:交響曲第8番
同:第9番

2020年3月、ウィーンフィルとネルソンスによるベートーヴェン・ツィクルスのハンブルク公演から、最終日の8・9番の放送。既に先月WDRで放送されたもの(→〈WDR〉WPh ベートーヴェン8・9番 ハンブルク公演(2020年3月))と同一なので、私の感想はそちらで。合唱がNDRとWDRの合同だったので、両方で録音が入ったのだろう。

本当なら今頃はネルソンスとウィーンフィルによるウィーンでのベートーヴェン・ツィクルスが進行しているはずだったこの時期。ハンブルクのこれは、結果としてこのコンビによる最後の第九となった演奏会である。
既に放送済で、NDR Konzertplayerにてアーカイブが公開されている(上記リンクから聴取可、恐らく約1か月)。

余談ながら、少し前にTwitterで書いたのだが、先にアーカイブで聴けたWDRの放送音源と思われるものが、某フリマサイトでCD-Rにして出品されていてびっくりした。


他にもそこそこの数があり、いくつかは買った人もいるらしいのにまた驚いた。ネット上に載っていた/いる演奏ばかりのようで、限りなく怪しい。放送音源だとしたら販売どころか無料配布でも違法ではないのだろうか。通報でもあったのか、しばらくするとほとんどの出品が消えて、幸い(?)このネルソンスWPhにお金を出した人はいなかったようだ。聴きたい人はぜひ上記NDRのアーカイブを。


【2020年 WPhベートーヴェン・ツィクルス関連記事】
〈公演レビュー〉WPh ベートーヴェン・ツィクルス パリ公演(2020年2月)
〈公演レビュー〉WPh ベートーヴェン・ツィクルス ハンブルク公演(2020年3月)
〈公演レビュー〉WPh ベートーヴェン・ツィクルス ミュンヘン公演(2020年3月)
〈SZ〉WPh ミュンヘンのベートーヴェン「最後のコンサート」(2020年3月)
〈WPh〉ベートーヴェン・ツィクルス (I) 1・2・3番 パリ&ミュンヘン公演(2020年2・3月)
〈WPh〉ベートーヴェン・ツィクルス (III) 6・7番 パリ公演(2020年2月)
〈WPh〉ベートーヴェン・ツィクルス (IV) 8・9番 パリ公演(2020年2月)
〈WPh〉ベートーヴェン・ツィクルス (II) 4・5番 パリ&ミュンヘン公演(2020年2・3月)
〈雑感〉2020年2~3月 WPhベートーヴェン・ツィクルスの旅 ―Die Unvollendete―
〈WDR〉WPh ベートーヴェン8・9番 ハンブルク公演(2020年3月)
〈NDR〉WPh ベートーヴェン8・9番 ハンブルク公演(2020年3月)
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〈DG〉Deutsche Grammophon Premium公開(2020年5月)BPhパルジファル

ドイツ・グラモフォンのオンライン・アーカイブとしてDeutsche Grammophon Premiumというサイトがオープンしている。

Deutsche Grammophon Premium

現在のところPremium VideosとAudio Discoveryというパートに分かれていて、ビデオの方はコンサート映像やYellow Loungeの演奏、中国公演などのスペシャル映像、そしてドキュメンタリーなどが公開中。まだいずれも数は少ないものの、これから追加されるのだろう。
オーディオの方はDG120年の歴史からの録音コレクションで、Travel in Timeというところを見ると、年代別にその時期の代表的録音を聴くことができるようになっている。いずれも無料登録で視聴可能。

ネルソンスの演奏は今のところ以下のようだ。今後増えたら追記予定。

・ビデオ
2016年4月29日 ベルリン、フィルハーモニー
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ワーグナー:『パルジファル』第1幕への前奏曲、聖金曜日の奇跡
Andris Nelsons conducts orchestral music by Wagner

・オーディオ
2017年5月 ライプツィヒ、ゲヴァントハウス
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
ブルックナー:交響曲第4番 第3楽章
Bruckner: Symphony No.4

ワーグナーはデジタル・コンサートホールで公開中のもの(→〈DCH〉BPh パルジファル、ブルックナー3番)。ブルックナーはもちろんCD(→〈CD〉GHO ブルックナー4番、ローエングリン前奏曲)の音源である。

DGPBPhParsifal.png

映像ではバレンボイム、ネゼ=セガン、チョ・ソンジン、バティアシヴィリ、トリフォノフ、ユジャ・ワン、リシエツキなど、まだ数は多くないがさすがに有名どころがしっかりと揃っている。ミルガ・グラジニテ=ティラのドキュメンタリーなどもあるようだ。
また、今後はDG Stageという有料チケット企画も予定されているという。ネトレプコ、バレンボイム、ブッフビンダー、ネルソンス、ヴィラソンらの名前が挙げられているほか、中止になったバイロイト音楽祭のバーチャル版も公開予定とのこと。これに関しては内容や条件など詳細が分かり次第改めて書こうと思う。

*  *  *

ネルソンスBPhの『パルジファル』は2016年4月の演奏。上記DCHの方の記事もあまりきちんと書いていなくて、その後のクラシカ・ジャパンでの放映時にも結局書いていないという有様なのは、同時に演奏されたブル3も含め、曲にあまり思い入れがないためである。しかし改めてここで映像を見てみて、演奏としての好感度はやはりとても高かった。ゆったりとして重心の低いサウンドながら非常に温かみがあり、厳粛重厚というよりは大らかでヒューマンな、優しさに満ちた調子が印象に残る。
2018年、GHOとのブルックナー9番のコンサートでもこの2曲は演奏されているのだが、それがCD化された(→〈CD感想〉GHO ブルックナー9番、パルジファル前奏曲)際には収録時間の関係か、前奏曲の方しか入らなかった。このBPhとの「聖金曜日の奇跡」の生き生きとした、しかし柔らかで情感豊かな歌いぶりを聴いていると、GHOの演奏が(現在のところ)CD化されていないのはやはり残念に思う。

ネルソンスはこのベルリンフィルとの共演の3か月後の2016年夏に、バイロイトで『パルジファル』を指揮するはずだった(→〈速報〉ネルソンス、2016年バイロイト『パルジファル』降板)。このベルリンでの時はそれへの期待に溢れていたはずで、表情からもそれがよく伝わってくる。あの夏のバイロイトで何があったのか、正確なところはわからないけれども、彼があの降板によって断念したものがどれほど大きかったか、この映像からは痛いほど想像させられる。
ちなみにこの時のネルソンスはまだ髭がないが、バイロイト事件を経たこの年の秋に再び姿を見せたときに髭を伸ばしていて、それ以来(たまに剃っていた時もあったが)ほぼ一貫して今のスタイルになっている。髭なしの方が良かった、と簡単に言う人もよくいるのだが、私としてはこのバイロイト事件が何らかのきっかけとなったのでは…という疑いが拭えず、軽々しく良いの悪いのという気にはなれないのである。それ以上に、今のネルソンス(?)になってからの方が圧倒的にしっかり見ているし聴いているので、むしろ前の姿を思い出さなくなっているとも……。
posted by Mogu at 01:33Comment(0)動画